水彩画で静物画を描くときに対象の色や形に注意して描いているけど、でき上がってしまうととどうも平面的に見えるということはありませんか?
立体感を出すにはものに陰影をつけることが基本になりますが、陰影は必ずしも白や黒の絵具を使うことではありません。
色を使って立体感を表現するためにはどんな方法があるのかを調べてみましたので、紹介します。
ものに光がどのように当たっているか、光の明暗をとらえる
明暗の差をつけて立体感を出す
静物画を描くときは、ものが持っている固有の色彩にとらわれると、どこも同じように見えてくるものですが、どっちの方向から光が当たっているかをとらえ、その明暗を際立たせて表現することで立体感を出すことができます。
例えば、赤いリンゴを描くときは、鮮やかな色彩に目を奪われますが、一番明るいところはどこかを探すとどの方向から光がきているのかが分かり、その反対側に影を作っているのが分かります。
この明暗の関係をしっかり再現できれば、かなりの立体感が描き表せます。
つまり、絵は見えた通り描くのではなく、光を意識すればこのように見えるということを表現するのが上達のコツです。
タッチの方向で立体感を出す
立体感はものの形に沿った方向線タッチを使うことで、立体感がでてきます。
四角い箱の面は、塗るときに縦横の平行線を重ねるとがっちりした感じになります。
また、りんごなどの丸いものはりんごの形に沿って曲線で塗っていくと、その丸みや立体感がでてきます。
明暗と合わせ、タッチの方向も利用して立体感を表してみましょう。
光の明暗の塗り方は白や黒を混ぜることではない
光が当たっているところは白っぽく見え、影は黒っぽく見えるものなので明暗を出すにはこれらの色を使うことができます。
また、これらの中間の明度である灰色の濃淡を使い、陰影のグラデーションを上手に使うことで立体感を出すことができます。
でも、水彩絵具で明暗をつける塗り方は、必ずしも白や黒の絵具を塗ることではありません。
透明水彩では、紙の色の白さを塗り残す方法が取れますので、それによって明るさを表現できます。
このため、黒い絵具を使わなくても色味(色相)のグラデーションをつけるだけで、陰影をつけることができます。
白や黒でなく、色味(色相)のあるあらゆる有彩色には明度があるため、明度を利用しても陰影をつけることができるということです。
有彩色を使用した陰影のつけ方には、次のような方法があります。
明るいところは薄く塗り、暗いところは絵具の量を多くして濃く塗る
透明水彩では、紙の白さを活かすことができるので、薄く塗ると光の反射率が上がり明るく、濃く塗ると光の反射率が下がり暗い感じになります。
明度の高い色を使うと明るく、明度の低い色を使うと暗い表現になる。
この場合は、重ね塗りで色が濁らないようにすることがポイントで、色を重ねて塗る前に、絵具を完全に乾かすことが大切です。
また、色相が違うものを混色すると色の反射率が下がり、色の濁りがでてきます。
こんなことに注意して、次の2つの方法でも陰影がつき、立体感が表せます。
類似の色相を使って表現
水彩画の良さを活かすために明るく鮮やかな色彩で陰影を表現するには、できるだけ似たような色相を使って、できるだけ光の反射率を下げずに色の濁りを抑えて立体感を出すことが可能になります。
反対色を使って表現
これは思い切った表現になりますが、影の部分を見ているといろいろな色味が混じりあっていて、反対色も見えてくることがあります。
反対色を使うことでも、陰影がつき立体感を表すことができます。
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